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by ELECTRICSHEEPs

第四回 DTC治療満足を期待させているか?

DTC (direct-to-consumer advertising)に関して今回紹介します。
米国では商品名公開が解禁されているこの分野ですが、日本においては、規制が異なり手探りの状態です。
潜在患者へ疾患啓発を行い受診行動、処方、コンプライアンスという、患者さんの流れにどのようにビジネスチャンスを見出すのか、患者さんの心理を考えさまざまなアプローチが考えられます。
現在積極的に行っている会社も、数社でありまだ結論を出すには早い時期かもしれませんが、あえて今、なにが課題か考えてみようと思います。
現在、行われているDTCは、疾患啓発を中心に行われており、爪白癬、うつ、偏頭痛、ヘルペス、緑内障などといった、患者自身が病気を認知できる疾患で、疾患啓発から専門医へという流れで展開されています。
まず、疾患認知のあと、どれくらいの治療期間、いくら、どこに行って、リスク、治療メリットなど、治療満足への期待を十分満たす必要があります
これが不十分だと大金をかけても、疾患啓発が受診行動までに大きなギャップが生じ、受診行動が促進されません。
しかしTV、新聞、ラジオなどのメディアは、時間、紙面の問題があり限られた情報しか提供できません、さらに個別のニーズ(地域性、疾患など)に答えるためにも補完メディアを整備する必要があります。
この補完には、一般的にコールセンターで対応することが選択されますが、維持費は決して、安くなくWebによる対応割合を増やすことがコストをおさえるポイントでしょう。
また、総務庁の調査にあるように、病気について調べる情報源はインターネットが1位になっておりe-DTCは今後期待できるメディアと考えられます。

DTC Web Siteの役割
1サーチエンジンマーケティング
2他のメディアとのコラボレーション
3疾患情報の詳細説明・治療方法・施設などの情報提供
4コンプライアンス向上などです。

中でも、施設情報に関しては、既に多くのDTCサイトで実施されておりますが、
通常のお問い合わせの中でも患者さんのニーズとして最も高いところではないでし
ょうか?この施設情報の提供の考え方として

1.みだりに公開することなく問い合わせに対し提供する。
2.特定施設を紹介せず。複数施設情報を提示して患者さんの選択にする。
3.こちらから特定医薬品等の商品名を知らせない。
4.医療情報は提供せず、一般情報に限定する。
5.自社での施設紹介は事前承諾施設とする。
6.納品リストではなく、治療施設リスト(一般情報)として扱う。
などを基本に整備してはどうかと考えています。実際患者さんのニーズは強いものがあり、各社対応について決めておく時期に来たのではないでしょうか。

現在のDTCの課題として
1医師へ対象疾患であると、思い込んで訪問する患者さんがいて困ることがある。
2掲載されていない施設からの不満
3病院では、紹介率を上げることに逆行してしまう。
などがあります。

e-DTC
先述のとおり、Web Siteの情報メディアとしての重要性は高まっています。紙媒体の延長線で綺麗なサイトを載せる時代は終わり。患者さんの治療満足期待、コミュニケーションフローなど綿密に設計し、軽く、見やすいサイトを構築し、DTCキャンペーンの補助から中心的役割を担うようになりました。
さらに今後Web Siteへ十分な投資が必要でしょう。

もう一つのDTCのチャンスは、アドヒアランスの向上であると考えられます。
アドヒアランスを向上させることは、治療結果の向上、中断による副作用、そしてビジネス的にも重要な課題と思われます。
現時点ではドロップアウトの実態を把握するところからはじめる必要があり、有効な対象疾患を探る段階かもしれません。
またその実現には、eビジネスの応用が期待されます。

まとめ
現在考えられる対象疾患として、簡易自己診断できる疾患は、すべてチャンスが存在すると考えられます。
その上で、TV 新聞で広告してその費用に見合う効果が出ているか?
DTCの反応を地域別、時間別に把握することも可能で、受診行動をサポート、検証する意味でもwebの組み合わせは、重要な意義を持ってくるでしょう。
しかしなにより、最も大きな課題は、DTCの費用は大きな予算計上、市場調査の専門、カスタマーセンター、Web site構築など多くの部署とコラボレーションが要求されます。
トップマネージメントの強いリーダーシップが、DTCの実施はポイントになるのではないでしょうか。
DTCは、新しい手法であり柔軟さを要求される分野です。そう言う意味においては企業の柔軟さを計るバロメータかもしれません。
by ELECTRICSHEEPs | 2006-02-13 04:21 | eBiz